神奈川県行政書士会薬事相談員の横山です。
前回(【医療機器プログラム】医療機器該当性通知について)に引き続き、医療機器プログラムについて厚生労働省の通知を元に、お知らせします。
前回の記事はこちらです↓
医療機器に非該当の8項目
医療機器に該当しないものとして、8項目が挙げられています。
そのうち
1) 医療機器で取得したデータを、診療記録として用いるために転送、保管、表示を行うプ
ログラム
2) データ(画像は除く)を加工・処理するためのプログラム(診断に用いるものを除く)
3) 教育用プログラム
4) 患者説明用プログラム
5) メンテナンス用プログラム
6) 院内業務支援プログラム
以上の6つは主に医療機関の業務で使用されるプログラムですが、汎用性が高く、医療機器にはならないものです。
7) 健康管理用プログラム
8) 一般医療機器(機能の障害等が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの)に相当するプログラム(新施行令により、医療機器の範囲から除外されるもの)
が、該当性を考慮すべきものになります。
え?該当しないのに、該当性を検討しなくてはならないの?
という声が聞こえてきそうですが、製造または販売する側が
「これは医療機器に該当しません」
と主張しても、厚生労働省に
「客観的に見てこれは該当します」
と判断されるケースがあるのが、この分野なのです。
該当性判断の事例
健康管理用プログラムとは、プログラムを使用することで得られる結果に着目しています。
疾病や治療法の診断に使われるのではなく、あくまでも個人の健康維持管理を目的にするとのこと。
つまり、すでに病気になってしまっている人は対象外です。
また、一般医療機器に相当するプログラムには、プログラム単体では医療機器ではないものでも、組み合わせる機能や使用法、得られる結果によっては、全体が医療機器に該当と判断される場合があります。
例えば、寝るときに手首につけて目覚ましや睡眠の質を計る機能のある製品がありますね。
これは携帯情報端末内蔵のセンサ等を用いて、体動を検出するプログラムですが、判断によっては一般医療機器の「体動センサ」と同等の機能を発揮するプログラムとなります。
人の睡眠の質を測る=睡眠時間や熟睡の度合いを調べる目的で使う場合に、健康な人ばかりではなく、深刻な睡眠時無呼吸症候群の患者さんやうつ病などで睡眠の質を気にしている人、あるいはこれらの疾病の予備軍段階の方が使用するかもしれません。
もしこのプログラムに不具合があって、睡眠の質が正しく測れなかったら、疾病の判断と治療の機会を逸失することになりますよね。
そのリスクを考えると、この機器は医療機器に該当するのではないか。。。という判断になりかねないのです。
プログラムに限らず健康や美容の機器開発の分野は、今後も成長が期待される一方で、厳しい規制に適合しなくてはなりません。
医薬品医療機器等法の規制を受ける、受けないは、機器の開発段階で決定できますので、特にプログラム開発ご担当の方々はこの通知を十分ご検討ください。