ワンちゃんねこちゃんなどのペットを飼うご家庭は多いと思います。
ペットは家族の一員、おうち時間を楽しく心癒やしてくれますね。
動物用医薬品の市場
ペットが病気になったりノミなどのトラブルが発生したら、人間と同様、薬を使うことになります。
このペット用の薬を「動物用医薬品」として、人用の医薬品とは明確に区別していることをご存知でしょうか?
一般の方にとって動物用というと、ペット(犬、猫、小鳥、ハムスターなど)用のものを想像すると思いますが、実際の流通量と金額を見ると、そのほとんどを産業用の動物用医薬品が占めています。
産業用動物とは、農畜水産物(牛、豚、鶏、魚)、養殖のブリやフグ、蜂蜜をとるミツバチまでもが対象になります。
最終的に人間のお口に入る食品として考えると、医薬品の残留リスクも視野に入れた規制が必要ですからね。
管轄は農林水産省
人間の薬や医療を管理する役所は、厚生労働省になります。
これが動物用医薬品となると、上記の農畜水産物がメインという理由から、担当は農林水産省になります。
薬機法(昔の薬事法、正確には医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の中で、動物用医薬品は人間用のルールを読み替えて規制されており、大変理解しづらくなっています。
シンプルに「動物用は農水」と考えればよく、例えば県庁に質問する場合、薬務課ではなく農政課や家畜保健衛生所に連絡することになります。
地域性、動物の種類による規制に注意
上記でお話ししたとおり動物用医薬品は、ペット用よりも産業用動物への対応がメインとなるため、地域によって異なる施策や判断をされることがあります。
簡単に言ってしまうと、都市部と地方では事情が異なるということです。
例えば東京などの住宅地で牧場は滅多に見ませんが、北海道など畜産が盛んなところでは、隣も隣もそのまたお隣も酪農家さん、といった地域もザラです。
牛を対象とする医薬品の店舗販売業は、当然東京よりも北海道の方が許可されるべき理由(需要)がありますよね。
全国一律のルールで規制する方が無理があるのが、動物薬事行政なのです。
また、牛と豚と鶏は並んでお肉屋さんで売っていますが、その飼育方法や飼育の規模、生まれてから出荷するまでの期間も全然違います。
従って、個別の動物に対する医薬品は、別の種に投与することはできません。
牛の薬を鶏につけちゃいけない(その逆も)ので、牛は牛で鶏は鶏で試験をして、安全性や有効性が確認された医薬品が流通を許されることになります。
動物用医薬品だと、人間用よりも規制が緩いと思われるかもしれませんが、人間用とは異なる切り口の規制があるとお考えいただく方が良いでしょう。
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