外国で事業や投資をしていると、証明書に領事認証を受けなくてはならないことがあります。
日本にいながらフィリピン不動産を売買したりビザ申請をしようとすると、契約書のサインや証明書に、フィリピン大使館で領事の認証を受ける必要がありました。
フィリピンでは「レッドリボン」で通じるこの認証が、廃止されることになりました。
ハーグ条約の締約
2019年5月14日より、フィリピン共和国はハーグ条約の締約国になり、サインの認証や外国語で作られた証明書の翻訳には、領事認証を受けなくてもアポスティーユをつけることで良くなりました。
オランダのハーグで審議、採択されたことからハーグ条約と呼ばれていますが、ハーグ条約には文書の認証だけでなく、国際間の様々な取り決めがあります。
その中で、「外国公文書の認証を不要とする条約(Convention Abolishing the Requirement of Legalisation for Foreign Public Documents)」は、締約国の間では文書に認証をしなくても、アポスティーユがあれば通用させることを決めたものです。
アジアでは、日本や韓国、香港、マカオ以外に締約している国はほとんどありません。
シンガポール、タイ、マレーシアもまだ締約していませんから、フィリピンとの書類のやりとりがアポスティーユで済むようになったのは、画期的と言って良いのではないでしょうか。
レッドリボンとは
2019年7月時点で、レッドリボンの制度は廃止されています。
これまではフィリピンの大使館/領事館で認証を受けると、トップの画像のように1枚目に赤いリボンが施されたレターがついて戻ってきました。
そのため、文書にフィリピン政府の認証を受けること=レッドリボンと呼んで、フィリピン国内では親しまれてきたようですね。
アポスティーユの運用も6月に始まったばかりで、今でも場合によっては「文書にレッドリボンをつけること」という記載が残っているようです。
つい先日もお客様から「フィリピンのレッドリボンて何ですか?」とご質問をいただいたので、記事にしてみた次第です。
アポスティーユは無料
日本国内でアポスティーユを得るには、公証役場で認証を受ける際につけてもらいます。
認証費用はかかりますが、アポスティーユの付与じたいは無料です。
フィリピンの例で言えば、以前は
公証役場認証費用+領事による認証(レッドリボン取得)費用
でしたが
公証役場認証費用+その場でアポスティーユ(無料)
と変わりました。
レッドリボンの費用は1通あたり3,250円でしたから、フィリピンとの書類やりとりのハードルは費用面でも下がりましたね。