昨年の11月頃、東京の行政書士さん経由でご依頼いただいた事例をご紹介いたします。
この先生とは面識はなかったのですが、当社のHPを見てくださったようで、お問合せフォームからご連絡をいただきました。
東京都内の会社様がフィリピン人社員を招聘するにあたり、在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)はこの先生のサポートで取得したものの、POLOとPOEAのお手続きがあることを後から知ったため、フォローしてもらえますか、というご依頼でした。
社員さんの在留資格は「技術・人文知識・国際業務」、一般的な文系のお仕事で、認定証明書の期限はあと2ヶ月という時期でした。
前後関係はわかりませんが、現地の日本大使館でビザのスタンピングを受けフライトも手配したところで、POLOとPOEAの存在に気づかれたそうです。
直接雇用は原則禁止
当社のサービス概要をご返信し、社長様と直接やりとりさせていただくことになりました。
社員さんのスキルや人柄を社長自らがよくご理解されており、期限どおりにぜひ日本に来て欲しい、とのご要望でした。
この会社様では多くの外国人社員を雇用していて、正規非正規合わせて数百人が在籍していましたが、フィリピン人の正社員登用は初めてでした。
社長様はPRA(Philippine Recruitment Agent、送出しエージェント)とは契約せず、直接雇用でのお手続きを希望されていました。
ただ、POLO東京のHPには直接雇用は原則禁止との記載があり、いくら会社様が希望されてもPOLO東京が認めないと直接雇用はできません。
入国まで波瀾万丈
結論から言うと、この会社様はPOLO東京に直接雇用が認められ、社員さんを無事に招聘することができました。
ただPOLO東京のインタビューでは、
「なぜ禁止だとわかっているのに直接雇用にしたのか」
「なぜPOLO東京の手続より先に認定証明書を申請したのか」
と厳しめに聞かれる場面があり、社長様は不許可になるかとドキドキされたみたいです。
POLO東京の書類チェックが済むと、こんどはフィリピンのPOEAに企業登録をするのですが、ここでは雇用関係が継続していることを証明する追加の資料を要求されました。
そして、これは直接雇用が理由ではありませんが、全ての手続が済んで社員さんが渡航したときの日本の入国審査でも、この方はすんなり通過できず別室で尋問にあったそうです。
POEAに提出した追加資料を見せて、ここでも雇用関係に問題ないことを証明し、入国が認められました。
直接雇用のメリット
直接雇用のメリットは、何と言ってもエージェントと送出し契約をせずに済むことでしょう。
エージェント、日本の会社、フィリピン人社員の三者がからむ雇用書類の準備には時間がかかり、またエージェントの手数料も発生します。
直接雇用であれば、会社と社員さんの二者間でサインすれば良いので、時間も手間も少なくて済みます。
直接雇用のデメリット
デメリットは、まずPOLO東京では直接雇用を原則禁止にしているため、下記のような社員さんの資格要件や雇用条件について、細かく厳しいチェックが入ることです。
・職歴学歴ともに高度人材であること
・高度人材としてふさわしい待遇(ポジション、給与額、勤務時間、手当etc.)であること
・日本の社会保険料はもちろん、フィリピン人が海外で働くための生命保険の付保等を日本で準備すること
直接雇用をご希望の会社様へ
当社では、エージェント経由または直接雇用のどちらも実績があり、会社様のご希望にそってサポートしております。
直接雇用の申請は、日本中に支店があるような老舗の大手様でも認められず、一方で比較的若くて小さい会社でも条件が整えば認められるなど、日本の在留資格の審査とは異なる視点でみられるようです。
フィリピンでは、海外で働くフィリピン人就労者の支援保護を目的として、雇用条件のチェックを年々厳しくしています。
エージェントをとおすことで、雇用条件を間接的に守らせる狙いもあるものと思います。
ご本人の学歴職歴に加え、高めの給与・賞与・各種手当てなどのベネフィットや業務内容・職位が求められ、これを適合させていくと、エージェント経由の方が手数料を払ってもトータルでは安かったのでは?と思われるケースもあります。
当初は直接雇用で始めたものの、POEAの要件に適合するために就業規則を変えなくてはならず、苦労される企業様もございます。
また、現地で行うビザやPOEAのお手続きがあるので、直接雇用ですとフィリピン人社員さんがこれらを独自にやることになり、戸惑う場面も多々あります。
一方で、会社様によってはスムーズに事が運び、直接雇用ができた事例もございます↓
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