この3月より、日本政府による水際対策が緩和され、やっと新規入国の外国人にビザが発行されるようになりました。
当社の顧客でも、来週には晴れて入国される方がいらっしゃいます。
社長さんは2月中からフライトを確保され、社員さん本人も3回目の接種証明書のアップデートなど、忙しく動いてくださいました。
フィリピンで発行される接種証明書については、こちらの過去記事もご覧ください↓
OFW(Overseas Filipino Worker)の初回出国手続
送出し機関によるお手続には、大きく分けて二段階あります。
1.企業登録
雇用企業などの受入機関が、管轄のPOLOで雇用書類の照査を受けた後、フィリピン本国でPOEAに登録します。
2.就労者本人の手続
・現地の日本領事館で就労ビザのスタンピングを受ける
・出国前の健康診断
・海外就労に関する講習を受ける
・OEC(Overseas Employment Certificate, 海外就労許可)の申請取得
・強制保険、出国費用の支払い等
・PCR検査陰性証明書の取得(現状Covid対応として)
・日本で有効とされるワクチン接種証明書(現状Covid対応として)
二重保険疑惑
出国前に加入する保険は、強制となっています。
払わないと出国できません。
でもその前に、みておくべき事実があります。
POLOの雇用契約書のフォームには、雇用主が日本/フィリピンで支払う生命保険の記載があるんですね。
Employer shall provide personal life accident insurance in accordance with host government and/ or Philippine government laws without cost to the worker.
雇用主は、受入国政府および/またはフィリピン政府の法律に従い、労働者に負担をかけずに、個人用生命傷害保険を提供するものとする。
一方で、エージェントとの送出し契約書のフォームにも、
In case of death of the worker, the PRINCIPAL shall pay all the expenses for repatriation of the remains of the worker and his/her personal properties to his/her relatives in the Philippines, or if repatriation is not possible under the circumstances, the proper disposition thereof, upon previous arrangements with the worker’s next-of-kin or in the absence of the latter, the nearest Philippine Labor Attaché or Embassy/Consulate.
労働者が死亡した場合、雇用主は、労働者の近親者または近親者がいない場合は最寄 りのフィリピン労働大使館/領事館と事前に取り決め、労働者の遺骨および個人資産を、フィリ ピン国内の親族に送還する、または状況により送還できない場合、その適正処分に かかる全費用を支払うものとする。
この点につき、「生命保険を二重に付保という意味でしょうか?」とのご質問をいただき、エージェントに確認しました。
強制保険の背景
この強制保険は、2010年から始まった制度だそうです。
当然2010年前にはこの保険料の負担はなかったので、フィリピン政府が強制加入を決めたときは、各国の雇用主から二重保険だと不満が出たそうです。
亡くなったときの補償という点では、確かに二重の負担になりますね。
事例:海外からのご遺体搬送
当社提携のエージェントには、海外で亡くなったフィリピン人就労者の事例が2件、あるそうです。
一人は心臓発作で、もう一人は睡眠中に亡くなっていたとか。
めったにない話ではあるものの、単身赴任先で亡くなるケースを考えると、イメージしやすいでしょうか。
ここで問題になるのが、ご遺体や家財道具などを本国に搬送する手続です。
日本では火葬が一般的ですが、宗教的な理由から、フィリピンへは火葬前に搬送するのが基本です。
そのため対応可能なフライトや輸送、受取などの手配が必要になりますし、費用もかかります。
エージェントの経験では、現地で飛行機に乗せるまでは、POLOと雇用主が連携して手配してくれました。
フィリピンについてからは現地の保険会社がすべてアレンジし、ご遺族には、金銭的な補償も含めて無事にお届けすることができたそうです。
POLOのフォームにある文言にも、納得できますね。
結論:二重保険は事実です
とは言え、実際にあった事例をお伝えできれば、すぐにご理解いただけると思います。
当社では今後も、経験豊富な現地エージェントと連携し、日本の雇用主様に伴走するサービスをご提供する所存です。
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